探偵作家は天国へ行けるのか?

天外消失 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1819)

天外消失 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1819)


 ポケミスの『天外消失』は、1970年代に出た世界ミステリ全集の最終巻『37の短篇』のうちから、現在、読みにくい作品を収録した短縮版である。もう一年以上前に出て、最近買ったらすでに3版となっていた。ここしばらくのポケミスの中では、売れているほうなのかもしれない。

 ところで、元版の『37の短篇』と見比べていて、いくつかのことに気がついた。

 例えば、アル・ジェイムズというマイナー作家の「白いカーペットの上のごほうび」には、元版の作品の最後に、訳者の小鷹信光による長い解説がついているが、ポケミス版には省略されているし、スティーヴン・バーの「最後で最高の密室」は、微妙に改訳されている。各編の冒頭につけられた「作家紹介」も、ポケミス版はすべて新しくなっていた。

 まあ、こういうことは、どうでもいいことである。しかし、ひとつだけ、どうでもよくないことに気がついた。C・B・ギルフォードの「探偵作家は天国へ行ける」は、最後の一行が抜けているのである!

 昭和30年代の翻訳は、例えば〈マンハント〉の作品などに見られるように、当時の読者にわかりにくい場合は、文章を補ったりしていた場合もあったようだ。そう考えると、『37の短篇』のときには、原文にないラスト一行があったのを、今回、削ったのだろうか? しかし、この最後の一行がないと、訳題を含めて、どうにもすわりが悪い。今回、最初にポケミス版を読んで、なんとなくラストがしっくりこなかったのが、『37の短篇』のラストを読んで、オチがすっきりした。

 このラストの一行、じつはちょうど、ページの変わり目にあたっているのだ。やはり、編集のミスで、一行抜かしてしまったと思われる。

 それにしても、3版になっても修正されていないのも、気になる。