2008-01-01から1年間の記事一覧
海外のミステリの類型分類(サブ・ジャンル分類)を見ていこう。
今回から数回にわたって、類型分類よるミステリ分類法について検討していくことにする。
ボアロー&ナルスジャックは、評論集『推理小説論』(1964)[紀伊国屋書店/現代文芸評論叢書]の中で、次のようにいう。
今回から、ミステリの具体的な分類法を検討していくことにする。二分法ではない、さまざまなミステリの分類について、これまでの例を参照しつつ、ミステリ全体を把握できるような分類方法を模索していこう。
「本格」という用語は、探偵小説とそれ以外の「探偵小説もどき」を区別するために生まれた。しかし、時代と共に本来の意味を逸脱し、あたかも探偵小説の一部の作風を指すかのように使われだしたのも、また事実である。今回は、それについて考察してみたい。
探偵小説のさまざまな二分法を検討することで、探偵小説に必要な基本要素が明らかになった。それは理知と扇情、捜査と推理、ゲーム性、写実性などである。そうした要素を含み持った探偵小説そのものが、本格探偵小説だった。「本格」という用語は、探偵小説…
探偵小説の二分法をさぐる四回目は、「本格」と「変格」である。本格探偵小説と変格探偵小説という分類法について検討しよう。まず、この言葉が歴史的にどう使用されてきたかを確認していくことにする。
数回にわたって、探偵小説を二つに分類する基準をさぐっているのだが、なぜ二分法なのか、ということを少し述べておこう。あるものを体系的に類別する場合、その論理的な分類(区分)には、以下の条件が必要だという。
二階堂黎人は「二十一世紀のミステリーに向けて」*1の中で、「ミステリー」というジャンルを「世の中に有形無形で存在するあらゆる《謎》を、自己の物語中に含んだ小説ジャンルの総称である。」と述べた上で、「その性格によって大きく二つに分けられる。す…
探偵小説とは、「探偵が登場する物語」もしくは「探偵が謎を解く物語」である、というのが、前回の結論だった。今回からしばらく、この探偵小説を二つに分類する基準を考察することにする。さまざまな二分法を検討していく中で、探偵小説の全体像が明らかに…
探偵が主人公となった小説が、すなわち、探偵小説である。これは、一見、乱暴な意見に思えるが、案外、使い勝手のいい定義であり、初期の多くの探偵小説に当てはまるし、明確に他の小説と区分することもできる。十九世紀末にガボリオーやドイルの作品のよう…
前回、考察したように、1880年代から1890年代にかけて「探偵小説」という言葉は一般化し、犯罪文学の一部に探偵小説というジャンルが生成した。では、当時、この言葉が意味するもの、つまり犯罪文学の中で探偵小説を特徴づけ、他から区別させていたものは、…
最初に、この文章の目的を述べておこう。これからぼくが書こうと思っているのは、現在、ミステリ(ミステリー)と呼ばれるタイプの小説は、どのように分類すればいいのだろうか、ということに対する、ひとつの試論である。おおげさにいえば、ミステリーとい…
「第一に話したいのは、なんといっても、「六つのナポレオン」だね」 「すてき! 第一話「六つのナポレオン」。ナポレオンが六つの幼年の時の話?」(p15-16)
『四つの署名』の児童向けリライトを、引き続き、見てみよう。
横山秀夫が書く小説は、一般には警察小説と思われている。それは、もちろん間違いではない。警察組織の中の一員であるがゆえの苦悩であったり、警察機構そのものの問題点であったり、作品のテーマに警察という組織が取り上げられることが多いからだ。しかし…
もう一回だけ、おじさんの繰言を。市川尚吾の「本格ミステリの軒下で」の中に次のような文章がある。 新本格ムーブメント以前のジャンル認識において、いわゆる「叙述トリック」型の作品に象徴されるような「意外性」を主眼にした作品は(中略)「本格」では…
(以下の文章では、敬称はすべて略しています。前日の文章は、市川尚吾氏の問いかけに答える形をとっていたため、「氏」をつけさせて頂きましたが、今回は特定の相手に向けた文章ではないため、敬称はつけておりません。呼び捨てにするようで、きつい感じを…
「反論というよりは、自分の考えを書いておきたいと思います」と前日のコメントで言ったばかりなのだが、まず、市川尚吾氏の質問に答えることから始めておく。
いささか遅れた話題かもしれないが、CRITICA(クリティカ)三号を(途中まで)読んだので、感想を書いておく。
日時 2008年10月5日(第一日曜日) 午後2時頃から 場所 豊島区勤労福祉会館(東京都豊島区西池袋2-37-4) http://www.toshima-mirai.jp/center/e_kinrou/ 今回は第一日曜日ですので、注意してください 読書会テキストは 『傷だらけの天使 ― 魔都に天使のハン…
世界初の小説上の探偵は、もちろん、ポーが創造したC・オーギュスト・デュパンである。「モルグ街の殺人」(1841)で登場したこの名探偵は、職務ではなく趣味で事件を解決する。イギリスの首都警察に刑事部が創設されるのは1842年だから、デュパンが読者の…
開催日時 2008年09月14日(第二日曜日) 場所 豊島区勤労福祉会館(東京都豊島区西池袋2-37-4) http://www.toshima-mirai.jp/center/e_kinrou/ 読書会テキストは 『四十七人目の男』上下 スティーヴン・ハンター 扶桑社ミステリー 「よんじゅうななにんめのお…
欧米探偵小説のナラトロジー―ジャンルの成立と「語り」の構造作者: 前田彰一出版社/メーカー: 彩流社発売日: 2008/07メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (3件) を見る 『欧米探偵小説のナラトロジー』前田彰一を読んだ。ナラトロ…
今年になってから、児童文学に興味をもち、にわか勉強にいそしんでいる。「児童文学におけるミステリーの流れ」を把握しようとしているのだが、なかなかこれが一筋縄ではいかないのだ。ネットを検索しても、あまり参考になる資料や意見がないのが現状である…
- 日時 2008年08月17日(第三日曜日) 開催場所 豊島区勤労福祉会館(東京都豊島区西池袋2-37-4) http://www.toshima-mirai.jp/center/e_kinrou/ 読書会テキストは 「今さらながら、この本を読む」シリーズ第5弾 『黒の試走車』梶山季之 岩波文庫ほか - 散歩…
久米穣って、久米元一の息子だったんだ。いや、知らなかったよ、恥ずかしい。
ヴァン・ダインが「アメリカ型探偵小説の東部スタイル」の創始者なら、ハメットは「アメリカ型探偵小説の西部スタイル」の創始者だ。片や、ニューヨークの上流階級を舞台に、素人探偵が、美術や文学の知識を振りかざしながら謎を解き、片や、サンフランシス…
日時 2008年07月20日(第三日曜日) 開催場所 豊島区勤労福祉会館(東京都豊島区西池袋2-37-4) http://www.toshima-mirai.jp/center/e_kinrou/ 読書会テキストは 「今さらながら、この本を読む」シリーズ第4弾 『グリーン家殺人事件』S・S・ヴァン・ダイン…
ヴァン・ダインの児童書について、調べると、以下のようになった。