2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「探偵小説」という言葉について

「探偵小説」は英語の Detective Story の訳語として作られたのは間違いないだろう。 この「探偵小説 Detective Story」とは、もともと「探偵する小説」という意味であった、という説がある。それが、日本では、「探偵・刑事(Detective)が登場する小説」と…

トークショー「幻影城の時代」

昨日、古書会館で行なわれたトークショー「幻影城の時代」を聞きにいった。 昨年暮れに出た同人誌『幻影城の時代』関連のイベントである。権田萬治氏が台湾で島崎博氏と再開された時の模様を中心にして、当日会場にいらっしゃった二上洋一、竹谷正、新保博久…

向日葵の咲かない夏

月に一度、「屋根裏の散歩会」と称して、ミステリ好きの仲間が集まって、読書会のごときものをやりながら、ミステリ無駄話に興じるている。 昨日の読書会の本は道尾秀介の『向日葵の咲かない夏』。これが、けっこう盛り上がった。まあ、ウチの集まりはみんな…

ひと休み

「ミステリの歴史」はしばらくの間、中断しよう。 アンナ・カサリン・グリーンをなかなか読み終われないし、このあとのホームズの時代をまとめるのに相当時間がかかりそうだから。 ところで、もう少し先の話になるのだけど、1920年代のアメリカの探偵小説の…

1870年代の探偵小説

■1870年代の探偵小説 エドガー・アラン・ポーが1840年代に生み出した「探偵小説」は、1850年代から60年代にガボリオ、ディケンズ、コリンズたちの手によって、さまざまに発展してきた。しかし、1860年代以降、シャーロック・ホームズが登場する1880年代末ま…

都市の犯罪と探偵小説

探偵小説(ディテクティヴ・ストーリイ=推理小説=ミステリ)について、「探偵小説が扱う犯罪は、基本的には都市に起こる犯罪である」という趣旨のことを、自明のものとして書きてきた。しかし、これは少し説明をしないと、納得していただけないかも知れな…

アメリカ1850年代〜1860年代(2)

■男たちの行く道/ダイム・ノヴェルの誕生とピンカートン探偵社の設立 ――アメリカ 1850年代〜1860年代 ダイム・ノヴェルという名称は、1860年6月に刊行が開始された《ビードル・ダイム・ノヴェル》という叢書名に拠っている。10セント(ダイム)で買えるため…

アメリカ1850年代〜1860年代

■流血と血糊は女の領域/ルイザ・メイ・オルコットのスリラー ――アメリカ 1850年代〜1860年代 ヘイクラフトはポー以降三十数年間のアメリカ探偵小説史を、こう総括する。 もし読者がニック・カーターとその同僚たちや、なかば小説的なピンカートンの回想録な…

ロマン・フィユトン(8)

■ロマン・フィユトン/その後のガボリオ ――フランス 1840年代〜1860年代 ガボリオが創設したジャンル、すなわち探偵=刑事が犯罪事件の謎を解いていく過程を中心的主題とした小説は、当時のフランスではなんと呼ばれていたのか。現在のフランスでは、このジ…

ロマン・フィユトン(7)

■ロマン・フィユトン/エミール・ガボリオのルコック探偵シリーズ(承前) ――フランス 1840年代〜1860年代 『ルルージュ事件』以降のルコック・シリーズの内容を、『推理小説の源流』の紹介をもとに確認しておこう。