2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧
二階堂黎人は「二十一世紀のミステリーに向けて」*1の中で、「ミステリー」というジャンルを「世の中に有形無形で存在するあらゆる《謎》を、自己の物語中に含んだ小説ジャンルの総称である。」と述べた上で、「その性格によって大きく二つに分けられる。す…
探偵小説とは、「探偵が登場する物語」もしくは「探偵が謎を解く物語」である、というのが、前回の結論だった。今回からしばらく、この探偵小説を二つに分類する基準を考察することにする。さまざまな二分法を検討していく中で、探偵小説の全体像が明らかに…
探偵が主人公となった小説が、すなわち、探偵小説である。これは、一見、乱暴な意見に思えるが、案外、使い勝手のいい定義であり、初期の多くの探偵小説に当てはまるし、明確に他の小説と区分することもできる。十九世紀末にガボリオーやドイルの作品のよう…
前回、考察したように、1880年代から1890年代にかけて「探偵小説」という言葉は一般化し、犯罪文学の一部に探偵小説というジャンルが生成した。では、当時、この言葉が意味するもの、つまり犯罪文学の中で探偵小説を特徴づけ、他から区別させていたものは、…
最初に、この文章の目的を述べておこう。これからぼくが書こうと思っているのは、現在、ミステリ(ミステリー)と呼ばれるタイプの小説は、どのように分類すればいいのだろうか、ということに対する、ひとつの試論である。おおげさにいえば、ミステリーとい…