ピカレスク小説についてもう一度

気になったので、英語版ウィキペディアの Picaresque novel を見てみた。

http://en.wikipedia.org/wiki/Picaresque_novel


ここでピカレスク小説の影響を受けた現代小説として挙げられているうち、邦訳のあるのは以下のようなもの。

  • ヘンリー・ミラー『北回帰線』(1934)
  • ソール・ベロウ『オーギー・マーチの冒険』(1953)
  • ジャージ・コジンスキー『異端の鳥』(1965)
  • リタ・メイ・ブラウン『女になりたい』(1973) トラ猫ミス・マーフィの作者!

このほか、サラ・ウォーターズの処女長篇 Tipping the Velvet (1998) がクラシック・ピカレスクを現代に甦らせた作品として挙げられている。この作品はBBCで映像化もされているようだ。

グーグルで検索したら、こんな感想ページが見つかった。

http://spqr.sakura.ne.jp/data/movie_victorian_e/tipping_the_velvet.shtml

ピカレスクとは、悪漢が「時に激しく時に華麗に、一般的に悪と言われる行為を行って」いく話ではなく、主人公が(最下層を含む)社会のさまざまなを階層を遍歴していく物語のことのようだ。「高貴な血筋の生まれではない主人公が、冒険という非日常ではなく現実という日常を舞台に生きるための闘いを繰り広げ」る、という最初の説明が正しいと思っていいようだ。