分類

ミステリの分類(15)/さまざまな分類法・その6――類型分類(4)

探偵小説とは、探偵を主人公とした謎解き物語であった。探偵小説が発展して周辺分野を取り込んだ文芸ジャンルが、現在、ミステリと呼ばれている。その核には探偵小説があり、したがって、これを分類するのに最も適切なのは「探偵」である。そして、区分肢の…

ミステリの分類(14)/さまざまな分類法・その5――類型分類(3)

ここまで、ミステリの類型分類について、日本の例と英米の例を見てきた。英米以外では、こうした分類例を見つけることはできなかった。(単にぼくが、その他の国のミステリ事情に疎いだけであろうが)

ミステリの分類(13)/さまざまな分類法・その4――類型分類(2)

海外のミステリの類型分類(サブ・ジャンル分類)を見ていこう。

ミステリの分類(12)/さまざまな分類法・その3――類型分類(1)

今回から数回にわたって、類型分類よるミステリ分類法について検討していくことにする。

ミステリの分類(11)/さまざまな分類法・その2――規格分類

ボアロー&ナルスジャックは、評論集『推理小説論』(1964)[紀伊国屋書店/現代文芸評論叢書]の中で、次のようにいう。

ミステリの分類(10)/さまざまな分類法・その1――大衆文芸の中のミステリ

今回から、ミステリの具体的な分類法を検討していくことにする。二分法ではない、さまざまなミステリの分類について、これまでの例を参照しつつ、ミステリ全体を把握できるような分類方法を模索していこう。

ミステリの分類(9)/本格ミステリとは何か・その2――原初のミステリ

「本格」という用語は、探偵小説とそれ以外の「探偵小説もどき」を区別するために生まれた。しかし、時代と共に本来の意味を逸脱し、あたかも探偵小説の一部の作風を指すかのように使われだしたのも、また事実である。今回は、それについて考察してみたい。

ミステリの分類(8)/本格ミステリとは何か・その1――本来のミステリ

探偵小説のさまざまな二分法を検討することで、探偵小説に必要な基本要素が明らかになった。それは理知と扇情、捜査と推理、ゲーム性、写実性などである。そうした要素を含み持った探偵小説そのものが、本格探偵小説だった。「本格」という用語は、探偵小説…

ミステリの分類(7)/二つの類別・その4――本格と変格

探偵小説の二分法をさぐる四回目は、「本格」と「変格」である。本格探偵小説と変格探偵小説という分類法について検討しよう。まず、この言葉が歴史的にどう使用されてきたかを確認していくことにする。

ミステリの分類(6)/二つの類別・その3――ゲーム派と非ゲーム派

数回にわたって、探偵小説を二つに分類する基準をさぐっているのだが、なぜ二分法なのか、ということを少し述べておこう。あるものを体系的に類別する場合、その論理的な分類(区分)には、以下の条件が必要だという。

ミステリの分類(5)/二つの類別・その2――推理の物語と捜査の物語

二階堂黎人は「二十一世紀のミステリーに向けて」*1の中で、「ミステリー」というジャンルを「世の中に有形無形で存在するあらゆる《謎》を、自己の物語中に含んだ小説ジャンルの総称である。」と述べた上で、「その性格によって大きく二つに分けられる。す…

ミステリの分類(4)/二つの類別・その1――理知と扇情

探偵小説とは、「探偵が登場する物語」もしくは「探偵が謎を解く物語」である、というのが、前回の結論だった。今回からしばらく、この探偵小説を二つに分類する基準を考察することにする。さまざまな二分法を検討していく中で、探偵小説の全体像が明らかに…

ミステリの分類(3)/探偵小説とは何か・その3――謎解きの物語

探偵が主人公となった小説が、すなわち、探偵小説である。これは、一見、乱暴な意見に思えるが、案外、使い勝手のいい定義であり、初期の多くの探偵小説に当てはまるし、明確に他の小説と区分することもできる。十九世紀末にガボリオーやドイルの作品のよう…

ミステリの分類(2)/探偵小説とは何か・その2――探偵の物語

前回、考察したように、1880年代から1890年代にかけて「探偵小説」という言葉は一般化し、犯罪文学の一部に探偵小説というジャンルが生成した。では、当時、この言葉が意味するもの、つまり犯罪文学の中で探偵小説を特徴づけ、他から区別させていたものは、…

ミステリの分類(1)/探偵小説とは何か・その1――定義と分類

最初に、この文章の目的を述べておこう。これからぼくが書こうと思っているのは、現在、ミステリ(ミステリー)と呼ばれるタイプの小説は、どのように分類すればいいのだろうか、ということに対する、ひとつの試論である。おおげさにいえば、ミステリーとい…

血は異ならず

もう一回だけ、おじさんの繰言を。市川尚吾の「本格ミステリの軒下で」の中に次のような文章がある。 新本格ムーブメント以前のジャンル認識において、いわゆる「叙述トリック」型の作品に象徴されるような「意外性」を主眼にした作品は(中略)「本格」では…

本質と辺縁

(以下の文章では、敬称はすべて略しています。前日の文章は、市川尚吾氏の問いかけに答える形をとっていたため、「氏」をつけさせて頂きましたが、今回は特定の相手に向けた文章ではないため、敬称はつけておりません。呼び捨てにするようで、きつい感じを…

「定義」と「説明」

「反論というよりは、自分の考えを書いておきたいと思います」と前日のコメントで言ったばかりなのだが、まず、市川尚吾氏の質問に答えることから始めておく。

「本格ミステリ冬の時代」はあったのだ(3)

しばらく間があいてしまった。というより、もうこのネタに飽きてきた。(笑) でも、前回の続きを途中まで書いたので、そこまで、とりあえず、アップしておこう。 自分へのメモ程度の内容である。まさに「独り言」。

「本格ミステリ冬の時代」はあったのだ――その2

昨日は「屋根裏の散歩会」という、ミステリ・ファンのオフ会に参加してきました。そこで、ある方がこうおっしゃったのです。「社会派(推理小説)は、昔はリアリティを重視した作風を指していたのに、今は社会問題を題材とした作品を指すようになりましたよ…

「本格ミステリ冬の時代」はあったのだ

昨今、「本格ミステリ冬の時代はなかった」というような暴論が一部でまかり通っているようだが、これはいかがなものか。もちろん、「本格ミステリ冬の時代」と称するしかない時期は、確かに「あった」。多くの本格ミステリ・ファンたちが、人に隠れ後ろ指を…

定義と分類、あるいはたったひとつの冴えたやりかた

例えば「緑」という色は、定義できるのだろうか。青色と黄色のグラディエーションのどこに線を引くいて「緑」とするかは、おおむね文化で、厳密には個人で、さまざまに変化する。したがって、全人類が納得する「緑」の定義は不可能である。 例えば「水素」と…

二つの類別

あいかわらずの「定義」問題について。 二階堂黎人はミステリーを以下のように定義している。 《ミステリー》とは、《謎》の存在する小説の総称で、主として、《推理型の小説》と《捜査型の小説》を合わせたものである。 「謎」というのは、ほとんどあらゆる…

『本格ミステリーを語ろう!/海外篇』

『本格ミステリーを語ろう![海外篇]』芦辺拓・有栖川有栖・小森健太朗・二階堂黎人(原書房/1999)を今さらながらに図書館で借りてきて読んだ。 今さらながらに読んだ理由は、二階堂黎人関連の興味である。彼が「ポーから現代に至る本格ミステリーの歴史」…

評論家の分類

いやあ、二階堂黎人のサイト「二階堂黎人の黒犬黒猫館」内の「恒星日誌」の本日の内容【本格評論の終焉(6)】はすごい。http://homepage1.nifty.com/NIKAIDOU/ 評論家の分類なのだが、これがただ一つの基準で分類されているのだ。なるほど、二階堂黎人にと…

他のなにものでもない小説

ずっとミステリの分類ということを考えているのだが、いまだに結論は出ない。分類はあくまで便宜上のもので、これしかない、というような絶対的な分類法などない、というのは分かっていのだが…… 分類する、というのは世界観を明確にする、ということだとつく…

ハードボイルドな奴

H・C・ベイリーの『フォーチュン氏を呼べ』の解説(戸川安宣)を立ち読みで読んだが(いいのか?)、ハードボイルドへの言及はなかった。こうなると、ウィキペディアの記述の元ネタは不明である。どなたかご存知の方はいらっしゃるだろうか? さて、「ハー…

ハードボイルドとH・C・ベイリー

ネットの中でハードボイルドについての情報を得ようとすると、なかなか難しい。「本格ミステリ」系のサイトは、データベース的なものから本についての感想、名探偵の紹介まで、さまざまな情報が飛び交っているが、ハードボイルドとなると、あまり見つからな…

クローズド・サークルについて

最近、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の「推理小説」の項目を見たら、「サブ・テーマ/ジャンル」のなかに、「クローズド・サークル」ってのが加わっていた。ご丁寧にも、独立した項目にも「クローズド・サークル」はできている。http://ja.…