- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11/26
- メディア: 文庫
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小説で話題になり、映画で話題になった作品。映画はすでにDVDがレンタル屋にならび、僕はやっと、文庫化された小説を古本屋で見つけて読んだ。いまさら、という気がするが、僕の読書や映画鑑賞は、世間の動きとは何の関係もないので、仕方ない。
なかなか面白かった。藤原正彦の解説もよかった。(そういえば、解説でも触れられている「小説家だった父」というのが新田次郎だというのを、つい最近、知ったのだ)
で、疑問だったのは、オイラーの公式が、どうして題名にもなっている「博士の愛した数式」なんだろう、ということ。この数式は、語り手の家政婦さんと、博士の義理の姉=「未亡人」とが争いになったとき、博士がメモ用紙に書き付けたもので、この数式を見た「未亡人」は、なぜか軟化する。この意味がよく分からなかった。
そこで例によって、『ウィキペディア(Wikipedia)』から引用すると、この式は正確には「オイラーの等式」(オイラーの公式の一部)と呼ばれ、
e^{πi} + 1 = 0
この式は、全く起源の異なる重要な2定数、円周率 π とネイピア数 e が、極めて基本的な数、0, 1 および虚数単位 i によって結びついている非常に重要な等式である。この予想外の調和・連関を明らかにすることから、オイラーの等式は、"人類の至宝" とも呼ばれる。
と説明されている。
これよりも、「はてな」にある、
この式は、
という、それまで全くバラバラの分野で扱われ、何の関係性も持ち得ないと思われていた3つの数が、実際には結び付けられるどころか、非常にシンプルな解を導き出すという非常に重要な等式である。
数学者たちはこの予想外の調和・連関を「人類の至宝」「人類史に残る不朽の名作」と表現している。
という説明で、なんとなく理解できた。
解説にもあるように、この物語の要は三角形である。息子ルートを頂点とした家政婦と博士の関係、あるいは博士を頂点とした家政婦と未亡人の関係、また詳しくは語られないが、未亡人を頂点とした博士と兄(未亡人は博士の兄の奥さん)の関係。三角形の重要さは、博士自ら語っている。その上、「この三角形を二つくっつけると、更に物事は先に拓ける」とまで教えてくれている。
で、この三角関係が「何の関係性も持ち得ない」と、バラバラに壊れそうになったときに、ある規則さえ見出せば「実際には結び付けられるどころか、非常にシンプルな解を導き出す」というのが、博士が「オイラーの等式」を持ち出した「解」なのじゃないか。
だから、この式は e^{πi} = -1 とも書けるけど、やはり e^{πi} + 1 = 0 と書かなくてはならないのだろう。3つの数の関係に、ひとつ足せば「0」になるのが重要なのだ。ゼロの意味も、ちゃんと博士の口から説明されている。
てなことを考えておりました。
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ところで、数式の表記方法がよくわからない。他のサイトをみるとチャンと指数もパイも表記されている。普通にパイを書くと、なんだか小文字のエヌみたいになってしまった。