- 作者: 石原千秋
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/10/04
- メディア: 新書
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石原千秋は僕と同学年である。で、前から気になっている存在であった。以前、『秘伝 中学入試国語読解法』を読んで、入試に対する考え方や、物語パターン論を小学生にも理解させようという姿勢に疑問をもちながらも、その「ねじれ」方に妙なシンパシーも感じていた。うーん、こういう理屈っぽいねじれ方は、世代的なものなのだろうか?
あとがきに「そこ(分析内容:引用者注)には「石原千秋」という少し(かなり?)歪んだ「個性」が関わっていることは否定しない」とあって、思わずニヤリとしてしまった。自分の歪みに自覚的なところにも共感する。
この『国語教科書の思想』では興味深いのはほとんど第一章の「「読解力低下問題」とな何か」である。この第一章には「確信犯的な「誤報」とはこういうことを言うのだ」とか「「読解力が身についたとは道徳的な枠組から読む技術が身についたということを意味するのだ」とか、「のだ」文がやたらに多い。著者がかなり激昂しているのが伝わってくる。
第二章、第三章の具体的な教科書分析になると、繰り返しが多くなり、またかよ、といいたくなるような内容で(たしかに具体的な分析というのは、そういうものなのだろうが)、新しい見解があまり見当たらなくなる。
個人的には「個性重視の教育」というのは好きではなく、教育ってのは枠にはめることだろ、と思ってしまうのだが、石原が言うように、そのことに自覚的にならなくてはいけない、というのは、まさにそのとおりである。