ショック!!


ミステリマガジンを買ってきた。
来月からミステリマガジンは、リニューアル創刊。海外ミステリ専門誌ではなく、「海外・日本を問わないミステリの総合誌として新たに生まれ変わ」るのだという。


ネットですでにこの情報は得ていたが、ショックである。とうとうここまで来たのか。
ジャーロ」と同じように、数年で海外短篇は載らなくなるのだろうか? 日本ミステリも低迷期に入っている時にこんなことをしたって、この雑誌はどーせ売れやしないだろうに。これまでのファンにも見放されるような真似を、なぜするのだろう。これでは廃刊への一里塚ではないか。

「ミステリが読みたい! 2008年版」も、発売時期が11月22日になって、これまでの「翻訳ミステリ回顧」と扱う時期がズレて、ややこしいことこの上ない。早川書房は「このミス」みたいな真似をしないからこそ、長らく根強いファンが支えていたのに。『今日の早川さん』もショックだろう。(いや、彼女はSFファンだったか。それにSFでは、すでに「このミス」の真似をしていたか……)

とはいえ、来月から始まる新企画「新・世界ミステリ全集を編む」は、ちょっと期待。以前、わたしも似たようなことをやろうとして、挫折したからだ。四人の識者(北上次郎新保博久池上冬樹・羽田詩津子)が何を選ぶのか、興味はある。ちなみに、わたしが考えたのは、前に「屋根裏」に載せた以下のようなものだった。座談会解説にゲストを配する、というところも、ぜひやっていただきたい。

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【新・世界ミステリ全集】 第一案

  1. P・D・ジェイムズ集
    • ナイチンゲールの屍衣』(1971)
    • 『女には向かない職業』(1972)
    • 『人類の子供たち』(1992)
  2. レジナルド・ヒル
    • A Pinch of Snuff (1978)
    • 『薔薇は死を夢見る』(1983)
    • 『骨と沈黙』(1990)
  3. ルース・レンデル集
    • 『指に傷のある女』(1975)
    • 『ロウフィールド館の惨劇』(1977)
    • 新訳どれか
  4. ピーター・ラヴゼイ
    • マダム・タッソーがお待ちかね』(1978)
    • 『偽のデュー警部』(1982)
    • ダイヤモンド刑事の新訳
  5. ドナルド・E・ウェストレイク集
    • 『ホット・ロック』(1970)
    • 『刑事くずれ/蝋のりんご』
    • ドートマンダー・シリーズの新訳
    • 解説ゲスト=木村二郎
  6. ローレンス・ブロック
    • 『泥棒は選べない』(1977)
    • 『八百万の死にざま』(1982)
    • スカダー・シリーズの新作
  7. イギリス男性本格 「デ」の人
    • 『五番目のコード』(1967)      D・M・ディヴァイン
    • 『ガラス箱の蟻』(1968)       ピーター・ディキンスン
    • 『キドリントンから消えた娘』(1976) コリン・デクスター
  8. イギリス女性本格
    • 『聖女の遺骨求む』(1977)    エリス・ピーターズ
    • 『聖堂の殺人』(1982)      S・T・ヘイモン
    • 『パーフェクト・マッチ』(1983) ジル・マゴーン
  9. イギリス女性作家 「ウ」の人
  10. イギリス警察小説
  11. アメリカ本格
    • 『死者の舞踏場』(1973)   トニイ・ヒラーマン
    • 『ホッグ連続殺人』(1979)  ウィリアム・M・デアンドリア
    • 『古い骨』(1987)      アーロン・エルキンズ
  12. アメリカン・ユーモア・ミステリ
    • 『スカイジャック』(1972)    トニー・ケンリック
    • 『フレッチ/殺人方程式』(1974) グレゴリー・マクドナルド
    • 『殺意のシーズン』(1986)    カール・ハイアセン
  13. アメリカ犯罪小説
    • 『死の蒸発』(1972)         ジョー・ゴアズ
    • 『エディ・コイルの友人たち』(1972) ジョージ・V・ヒギンズ
    • 『大博奕』(1978)          ロス・トーマス
    • 解説ゲスト=大沢在昌
  14. ネオ・ハードボイルド
  15. 女性私立探偵小説
  16. フランス・ミステリ(ノアール系)
    • 『狼が来た、城へ逃げろ』(1972)  ジャン=パトリック・マンシェット
    • 『おれは暗黒小説だ』(1974)    A・D・G
    • 『パパはビリー・ズ・キックを捕まえられない』(1974) ジャン・ヴォートラン
    • 解説ゲスト=平岡敦
  17. フランス・ミステリ(奇妙な味系)
  18. 37の短篇集(あとで考える)
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なるべく各巻にちょっとめずらしいものを配してみたつもりです。

でも、これじゃあ、あまりにもバランスが悪いですねえ。イギリス勢が多すぎる。でも、前回の【世界ミステリ全集】でのひとり一冊の作家は、アメリカ6人にたいし、イギリス2人(クリスティ/アンブラー)ですから、全体ではバランスがとれているかもしれないな、とへんな理屈をこねてりして。

しかし、エスピオナージュ系、サスペンス系、リーガル系、サイコもの、ノアール系統の作品がまったくないですね。アメリカの評判をかんがえると、エルモア・レナードジェイムズ・エルロイも一冊ほしいところでしょうか。

あと、すでに前回に入っている作家で、たとえばル・カレなど、70年代から80年代に作家的な成長を見せた作家をどう扱うかです。
エド・マクベインなど、前回でも一冊ありますが、今回だって、その後の作風の変化をいれたい誘惑にもかられます。しかし、いれるとすると、三人集というわけにもいかず、一冊を与えなきゃいかんだろうなあ。このひとは、それだけバケモンですよ。

そこで、以下の巻を追加。上の巻とくらべて、目玉商品があまりないですが。

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