2007-01-01から1年間の記事一覧

最近のトラック・バック

「刑事・ハードボイルドを攻める」ってのが「最近のトラック・バック」となった。 リンクされたページが「ダイム・ノヴェル」や「ピンカートン探偵社」について書いたページなのだが、これでどうやって「刑事・ハードボイルドを攻める」のだろう? だいたい…

『先生はえらい』内田樹

先生はえらい (ちくまプリマー新書)作者: 内田樹出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/01/01メディア: 新書購入: 10人 クリック: 88回この商品を含むブログ (251件) を見る

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SHINOBI [DVD]出版社/メーカー: 松竹発売日: 2006/02/18メディア: DVD購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (96件) を見る久しぶりにDVDを借りて観た。

1890年代――短篇探偵小説時代のはじまり(2)

■シャーロック・ホームズ――偉大なる探偵 《ストランド・マガジン》に、1891年から1892年にかけて連載された『シャーロック・ホームズの冒険』(1892)と、1892年から1893年にかけて連載された『シャーロック・ホームズの思い出』(1894)の2冊、24編*1のシ…

19世紀最後の10年――年表

今後の流れを見るうえで、こんなものを作ってみた。

「本格ミステリ冬の時代」はあったのだ――その2

昨日は「屋根裏の散歩会」という、ミステリ・ファンのオフ会に参加してきました。そこで、ある方がこうおっしゃったのです。「社会派(推理小説)は、昔はリアリティを重視した作風を指していたのに、今は社会問題を題材とした作品を指すようになりましたよ…

「本格ミステリ冬の時代」はあったのだ

昨今、「本格ミステリ冬の時代はなかった」というような暴論が一部でまかり通っているようだが、これはいかがなものか。もちろん、「本格ミステリ冬の時代」と称するしかない時期は、確かに「あった」。多くの本格ミステリ・ファンたちが、人に隠れ後ろ指を…

前回の補遺

前回、ドイルが発案したのはあくまで「一人の人物が各号で活躍するような話」であって、それが探偵小説のシリーズとは限らなかった、ということを記した。事実、シャーロック・ホームズの連載をやめた翌年の1894年から1895年にかけてストランド誌に連載した…

短篇推理小説の時代

1890年代――ホームズ短篇シリーズの開始 1887年、『緋の研究』が探偵小説界に爆弾のように投ぜられ、つづいてわずかの年月のうちに、輝かしくも驚嘆すべきシャーロック・ホームズものの短編シリーズが世に現れたのである。(『犯罪オムニバス』序文/田中純蔵…

日本――1880年代

●日本――1880年代/黒岩涙香の翻案探偵小説 ガボリオが生み出した長篇探偵小説は、本国のみならず、1860年代末からはロシアで、1870年代にはアメリカで、1880年代初めにはイギリスでブームをよんだ。その人気にあやかるかのように、あるいは揶揄するかのよう…

シャーロック・ホームズ登場す

●イギリス――1880年代/シャーロック・ホームズ登場す イギリスで1887年に出版された『二輪馬車の秘密』と『緋色の研究』の二作の長篇探偵小説の作者、ファーガス・ヒュームとコナン・ドイルは同年の生れである。1859年5月22日にドイルが生まれ、1859年7月…

ミステリー短編史のアンソロジー

日本で刊行された海外短編ミステリーのアンソロジーの中から重要なものを選べといわれれば、江戸川乱歩編の『世界短編傑作選』(創元推理文庫、全五巻)をまず筆頭に挙げねばなるまい。これが完結したのは1961年のことだった。この乱歩編の傑作集は古典であ…

イギリス――1880年代/ファーガス・ヒューム

●イギリス――1880年代/ファーガス・ヒューム――「探偵小説」を書きまくった男 ファーガス・ヒュームが『二輪馬車の秘密』を書いた動機を自ら語った文章が、『ブラッディ・マーダー』に引用されている。 メルボルンで最大の書店の主人に、いちばんよく売れる書…

イギリス――1880年代

●イギリス――1880年代/綺譚の時代 イギリスではアメリカやロシアよりも遅れて、1880年代の前半にガボリオが、後半にはデュ・ボアゴベが翻訳紹介される。やはり人気を博したらしく、1885年には『ルルージュ事件』の剽窃版とされるチャールズ・ギボン (1843-18…

チェーホフの探偵小説

●ロシア――1880年代/チェーホフの探偵小説 アントン・チェーホフの探偵小説としては、短篇「安全マッチ」(1884)がよく知られている。この作品は英米では、前述のジュリアン・ホーソーンのアンソロジーや、ヴァン・ダインが1927年に編纂したアンソロジー Th…

チェーホフと「ロシアのガボリオ」

●ロシア――1880年代/チェーホフと「ロシアのガボリオ」 アントン・チェーホフ(1860-1904)は唯一の長篇小説『狩場の悲劇』(1884-1885連載)の中で、登場人物の新聞編集者にこう語らせた。 問題は、わが国の気の毒な読者たちが、もうとっくにガボリオーだの…

アメリカ――1880年代

■アメリカ――1880年代 アメリカでは1870年代からガボリオの作品が翻訳紹介され、その影響を受けて1878年にアンナ・カサリン・グリーンの作品が登場、人気を勝ち得た。アンナ・カサリン・グリーンに影響を与えたのは、ガボリオだけではない。上流階級の家庭悲…

アンナ・カサリン・グリーン(承前)

■アンナ・カサリン・グリーン――「探偵小説の母」(承前) アンナ・カサリン・グリーンの処女作『リーヴェンワース事件』(1878)は、どういう話なのか。簡単に紹介しておこう。 ニューヨークの富豪リーヴェンワース氏が深夜、自宅の書斎で殺された。彼は二人…

アンナ・カサリン・グリーン

■アンナ・カサリン・グリーン――「探偵小説の母」 再開します。

昨日のこと

昨日の屋根裏の散歩会、無事終了。

「探偵小説」という言葉について

「探偵小説」は英語の Detective Story の訳語として作られたのは間違いないだろう。 この「探偵小説 Detective Story」とは、もともと「探偵する小説」という意味であった、という説がある。それが、日本では、「探偵・刑事(Detective)が登場する小説」と…

トークショー「幻影城の時代」

昨日、古書会館で行なわれたトークショー「幻影城の時代」を聞きにいった。 昨年暮れに出た同人誌『幻影城の時代』関連のイベントである。権田萬治氏が台湾で島崎博氏と再開された時の模様を中心にして、当日会場にいらっしゃった二上洋一、竹谷正、新保博久…

向日葵の咲かない夏

月に一度、「屋根裏の散歩会」と称して、ミステリ好きの仲間が集まって、読書会のごときものをやりながら、ミステリ無駄話に興じるている。 昨日の読書会の本は道尾秀介の『向日葵の咲かない夏』。これが、けっこう盛り上がった。まあ、ウチの集まりはみんな…

ひと休み

「ミステリの歴史」はしばらくの間、中断しよう。 アンナ・カサリン・グリーンをなかなか読み終われないし、このあとのホームズの時代をまとめるのに相当時間がかかりそうだから。 ところで、もう少し先の話になるのだけど、1920年代のアメリカの探偵小説の…

1870年代の探偵小説

■1870年代の探偵小説 エドガー・アラン・ポーが1840年代に生み出した「探偵小説」は、1850年代から60年代にガボリオ、ディケンズ、コリンズたちの手によって、さまざまに発展してきた。しかし、1860年代以降、シャーロック・ホームズが登場する1880年代末ま…

都市の犯罪と探偵小説

探偵小説(ディテクティヴ・ストーリイ=推理小説=ミステリ)について、「探偵小説が扱う犯罪は、基本的には都市に起こる犯罪である」という趣旨のことを、自明のものとして書きてきた。しかし、これは少し説明をしないと、納得していただけないかも知れな…

アメリカ1850年代〜1860年代(2)

■男たちの行く道/ダイム・ノヴェルの誕生とピンカートン探偵社の設立 ――アメリカ 1850年代〜1860年代 ダイム・ノヴェルという名称は、1860年6月に刊行が開始された《ビードル・ダイム・ノヴェル》という叢書名に拠っている。10セント(ダイム)で買えるため…

アメリカ1850年代〜1860年代

■流血と血糊は女の領域/ルイザ・メイ・オルコットのスリラー ――アメリカ 1850年代〜1860年代 ヘイクラフトはポー以降三十数年間のアメリカ探偵小説史を、こう総括する。 もし読者がニック・カーターとその同僚たちや、なかば小説的なピンカートンの回想録な…

ロマン・フィユトン(8)

■ロマン・フィユトン/その後のガボリオ ――フランス 1840年代〜1860年代 ガボリオが創設したジャンル、すなわち探偵=刑事が犯罪事件の謎を解いていく過程を中心的主題とした小説は、当時のフランスではなんと呼ばれていたのか。現在のフランスでは、このジ…

ロマン・フィユトン(7)

■ロマン・フィユトン/エミール・ガボリオのルコック探偵シリーズ(承前) ――フランス 1840年代〜1860年代 『ルルージュ事件』以降のルコック・シリーズの内容を、『推理小説の源流』の紹介をもとに確認しておこう。