山中ホームズ

六つのナポレオン(その1)

「第一に話したいのは、なんといっても、「六つのナポレオン」だね」 「すてき! 第一話「六つのナポレオン」。ナポレオンが六つの幼年の時の話?」(p15-16)

怪盗の宝(補遺その4)/真珠の数の謎

『四つの署名』の児童向けリライトを、引き続き、見てみよう。

怪盗の宝(補遺その3)/ワトスン、撃て! 

『四つの署名』のテムズ河追跡シーンでは、ワトスンもホームズと共に拳銃を携帯し、クライマックスでは蛮人トンガに向けて発砲する次のようなシーンがある。

怪盗の宝(補遺その2)

では、今度は最後の文章。おおくは、ワトソンが「僕は(この事件の)おかげで妻まで得るし、ジョーンズは名声を博する。それで君自身はいったい何を得るんだい?」という問いかけへの返事である。もちろん、原作はこうだ。

怪盗の宝(補遺その1)/やめたまえ。ぼくは医者として、きみに命令する。

『四つの署名』を児童書として出す時、もっとも気になるのは、やはりホームズのコカイン癖だろう。これについては、パシフィカ版《シャーロック・ホームズ全集》の巻末のエッセイ(ジョン・マレー版『四つの署名』の序文の翻訳)でも、グレアム・グリーンが…

怪盗の宝(その2)/落ち着け、ホームズ!

山中ホームズの原作にない特徴のひとつが大食いであるのは、すでに何度も述べた。今回も、「ホームズはいつものとおり、ぼくの三倍は食った。」(p155)と、相変わらずの健啖ぶりを見せている。もうひとつの特徴として、ことあるごとに、「プラス何点!」「…

怪盗の宝(その1)

山中ホームズの第3作は『四つの署名』を原作とする『怪盗の宝』である。もちろん、この題名は、ショナサン・スモールが手に入れたアグラの大財宝に由来する。原作は一部・二部とは銘打たれていないが、実質上は最終章の「ジョナサン・スモールの奇怪な物語…

恐怖の谷/補遺その3――野田改作とレンザブロック・ホームズ

前回、書き忘れたことからはじめよう。 講談社版の久米元一訳『消えたスパイ』にある、「ホームズがここに私立探偵の事務所をひらいてから、すでに二年あまりになる。」という文章だ。「ここ」というのは、ベーカー街221Bのことで、つまり「緋色の研究」事…

恐怖の谷/補遺その2

児童向けシャーロック・ホームズの邦訳で、『恐怖の谷』が収録されているものを、各種文献で調べて見ると、以下のようになる。書名に「名探偵ホームズ」等とついているものもあるが、便宜上省いた。また、装丁や奥付けを替えていくつかの版が出ているものも…

恐怖の谷/補遺その1

山中版以外の児童向け『恐怖の谷』についても、触れておこう。

恐怖の谷(その3)/謎の暴風と荒波

こうして、マクドナルド警部の要請で、ホームズとワトソンはバールストーン村に向かう。

恐怖の谷(その2)/暗号の不思議

さてさて、山中ホームズ版『恐怖の谷』の第2部は、「謎の暴風と荒波」と題して、原作の第1部、つまりホームズの活躍が語られる「バールストンの悲劇」に相当する。

恐怖の谷(その1)/冒険青年マクマード登場

山中ホームズの第2作は『恐怖の谷』である。『緋色の研究』を元にした第1作『深夜の謎』と同じく、過去の事件を語る原作の第二部を最初に配置し、ホームズが登場するのは後半になってからだ。

深夜の謎/補遺その2

続いて、小学館版《名探偵ホームズ全集》の『赤の怪事件』、訳者は偕成社版と同じ久米元一である。ぼくの手元にあるのは、1983年から1984年にかけて出た上村一夫挿絵のものだが、じつはこれは1973年から1974年に出版された小学館版《ホームズ全集》の再刊本…

深夜の謎/補遺その1

ところで、山中ホームズ以外の児童向けリライトはどうなっているのか。最初の『緋色の研究』(山中版では『深夜の謎』)について、手元にあるいくつかの訳を見てみよう。

深夜の謎(その3)/カマボコ指輪の謎!!

『深夜の謎』の第二部は「謎! また謎!! さらに謎!!!」と題して、医学博士ワトソンの記録が始まる。一人称は「ぼく」である。

深夜の謎(その2)/怪魔の権力を見よ!!

山中版『緋色の研究』である『深夜の謎』だが、原典ともっとも違っているのは、最初に原作の第二部を描き、ホームズとワトソンが出会うのは物語の後半になってから、という構成である。事件が起こった時系列で記述されているのだ。

深夜の謎(その1)

山中版シャーロック・ホームズの第1話は、『緋色の研究』を原作とした『深夜の謎』。原作でもシリーズ第1作で、この作品でホームズとワトソンが出会うのだから、これを最初にもってきたのは、正しい判断だといえよう。もっとも、「名探偵ホームズ全集」と…

山中峯太郎の翻案シャーロック・ホームズ(準備編4)

ところで、新年に持ち帰った本を改めて確認すると、ナ、ナント、18冊しかないではないか!

山中峯太郎の翻案シャーロック・ホームズ(準備編3)

さて、山中版ホームズの題名だが、前回ならべたものを眺めているだけでも、興趣は尽きない。

山中峯太郎の翻案シャーロック・ホームズ(準備編2)

北原尚彦『発掘!子どもの古本』(ちくま文庫)の「原作よりも面白い? ポプラ社版「名探偵ホームズ」」の章に、山中峯太郎のホームズが取り上げられている。前回、ぼくが抱いたような疑問を著者の北原氏も感じて、同じようにシリーズの物語順を調べ、一覧表…

山中峯太郎の翻案シャーロック・ホームズ(準備編)

さて、今年の目標のひとつである、山中峯太郎翻訳(翻案)のポプラ社「名探偵ホームズ全集」を通して読むという計画。このシリーズは、ずいぶん昔にバラで集めていて、ある時、もってない巻を友人にまとめてゆずってもらったものを、実家の本棚に眠らせてい…