児童ミステリ

戦後ジュヴナイル・ミステリの系譜(14)

■1950〜1954(昭和25年〜29年)その3/ふたつの翻訳児童文学叢書 1950年に刊行を開始したふたつの翻訳児童文学叢書、岩波書店の《岩波少年文庫》と講談社《世界名作全集》は、どちらも「これまでに紹介されてきた古典的な名作の他にも、多くの作品を初めて…

戦後ジュヴナイル・ミステリの系譜(13)

■1950〜1954(昭和25年〜29年)その2/翻訳児童文学の振興(承前) 敗戦の翌年から1946年の4月の『赤とんぼ』を皮切りに、「良心的」児童文学雑誌が次々と創刊された。民主主義の広まりと共に活況を呈した児童文学界は、1946年3月に児童文学者協会を設立、…

戦後ジュヴナイル・ミステリの系譜(12)

■1950〜1954(昭和25年〜29年)その1/翻訳児童文学の振興 「戦後児童文学の50年を概観する」(日本児童文学者協会編『戦後児童文学の50年』所収/文渓堂1996)の中で、鳥越信は日本の児童文学史を次のように年代区分している。

戦後ジュヴナイル・ミステリの系譜(11)

■1945〜1949(昭和20年〜24年)その11/その他の出版社の大衆児童文学3 この時期、児童読物を数冊だけ刊行した出版社の作品を見ていこう。

戦後ジュヴナイル・ミステリの系譜(10)

■1945〜1949(昭和20年〜24年)その10/その他の出版社の大衆児童文学2 前回に引続き、この時期の大衆児童文学をの刊行書目を追っていこう。根本正義の「〈書誌〉占領下の少年小説・少女小説・少年講談――偕成社・ポプラ社・講談社・東光出版社・光文社を除…

戦後ジュヴナイル・ミステリの系譜(9)

■1945〜1949(昭和20年〜24年)その9/その他の出版社の大衆児童文学1 講談社、光文社、偕成社、ポプラ社以外の出版社の、1945年から1949年(昭和20年〜24年)の間に出版された大衆児童文学の概要を、根本正義の「〈書誌〉占領下の少年小説・少女小説・少…

戦後ジュヴナイル・ミステリの系譜(8)

■1945〜1949(昭和20年〜24年)その8/ポプラ社の大衆児童文学 偕成社と違い、ポプラ社は戦後創業した児童書中心の出版社である。同社Webサイトの社史によれば、1947年に「「地中魔」(海野十三)、「海に立つ虹」(加藤武雄)、「怪傑黒頭巾」(高垣眸)を刊行、…

戦後ジュヴナイル・ミステリの系譜(7)

■1945〜1949(昭和20年〜24年)その7/偕成社の大衆児童文学 昭和20年代に大衆児童文学をもっとも精力的に出版していたのは、偕成社とポプラ社であった。『別冊太陽 子どもの昭和史昭和20〜35年』の「怪魔もの」について書かれたページ(p109)には、光文社…

戦後ジュヴナイル・ミステリの系譜(6)

■1945〜1949(昭和20年〜24年)その6/通俗児童雑誌の乱立 すでに述べたように、1949年から1951年にかけて、『赤とんぼ』『銀河』『子どもの村』などの「良心的」児童雑誌はすべて廃刊となる。最後に残った『少年少女』の終刊(1951年12月)のことばは、以…

戦後ジュヴナイル・ミステリの系譜(5)

■1945〜1949(昭和20年〜24年)その5/痛快文庫と江戸川乱歩の少年探偵団 戦後設立された光文社は、最初の児童向け叢書として「少年文庫」と「痛快文庫」のふたつを企画した。前者は世界名作・日本昔話の再話を中心としたものであり、後者は大衆的児童文学…

戦後ジュヴナイル・ミステリの系譜(4)

■1945〜1949(昭和20年〜24年)その4/光文社の少年文庫と痛快文庫 1946年11月にスタートした光文社の雑誌『少年』は、戦前から継続する講談社の『少年倶楽部(少年クラブ)』を除けば、戦後最もはやく創刊された娯楽系少年雑誌である。当初はA5版サイズだ…

戦後ジュヴナイル・ミステリの系譜(3)

■1945〜1949(昭和20年〜24年)その3/芸術的児童文学と大衆的児童文学の融合 長い間、日本の児童文学は「芸術的・文学的」な児童文学と、「大衆的・通俗的」な児童文学が、乖離したまま、それぞれ別物として発展してきた。少なくとも、そう言われてきた。…

戦後ジュヴナイル・ミステリの系譜(2)

■1945〜1949(昭和20年〜24年)その2/世界名作の中のミステリ要素 戦後の講談社(大日本雄弁会講談社)が最初に企画した児童書は、戦前の「世界名作物語」の再刊ともいえる「少国民名作文庫」であった。1946年8月から1947年にかけて、次の16冊刊行された。

戦後ジュヴナイル・ミステリの系譜(1)

日本における児童向けミステリ(ジュヴナイル・ミステリ)の系譜を、少し詳しく追ってみようというのが、この文章の目的である。時代ごとにどんな作品が書かれ、また紹介されたのかを調べた結果報告が中心となるが、できるなら、それが当時の子どもたち(や…

「架空リアリズム」について

今年になってから、児童文学に興味をもち、にわか勉強にいそしんでいる。「児童文学におけるミステリーの流れ」を把握しようとしているのだが、なかなかこれが一筋縄ではいかないのだ。ネットを検索しても、あまり参考になる資料や意見がないのが現状である…

久米一族の陰謀

久米穣って、久米元一の息子だったんだ。いや、知らなかったよ、恥ずかしい。

ヴァン・ダインの児童書

ヴァン・ダインの児童書について、調べると、以下のようになった。

MWAジュヴナイル賞1968年

1968年の受賞作は、グレッチェン・スプレイグの Signpost to Terror (1967)である。この作品は、一般向けミステリ作品を網羅したアレン・J・ヒュービンのミステリ書誌 Crime Fiction にも記載されているから、今で言うと、ヤング・アダルト的なものなのか…

MWAジュヴナイル賞1967年

1967年から1969年までのMWAジュヴナイル賞は、受賞作、候補作を含めて、邦訳は一冊もない。

MWAジュヴナイル賞1966年

1966年のMWAジュヴナイル賞の受賞作は、レオン・ウェア作の The Mystery of 22 East (1965) である。この作品は『恐怖の第22次航海』の題名で、学習研究社の《少年少女サスペンス》シリーズの推理篇の一冊としてとして邦訳されている。

MWAジュヴナイル賞1964-65年

1964年のMWAジュヴナイル賞を受賞したのは、フィリス・A・ホイットニーの Mystery of the Hidden Hand。ホイットニーは第一回(1961年)に続いて二度目の受賞である。この作品も邦訳されていないので、読めない。

MWAジュヴナイル賞1963年(承前)

1963年は、MWA最優秀長篇賞はエリス・ピーターズの『死と陽気な女』に授与され、ロバート・L・フィッシュが『亡命者』で処女長篇賞を受賞、ジョン・ディクスン・カーがグランド・マスターになった年である。

『ぬすまれた宝物』ウィリアム・スタイグ

評論社の「児童図書館・文学の部屋」シリーズの一冊。赤木かん子の『かんこのミニミニ子どもの本案内』で紹介されていたので、読んでみたのだが、近くの市立図書館に行くと推薦図書となっていて、いっぱい並んでいた。

MWAジュヴナイル賞1963年

MWAジュヴナイル賞の1963年から1965年までは、受賞作、候補作を含めて、邦訳は一作もない。したがって、ぼくは読むことができない。

ゆうれいのでる農場

さて、第二回のMWAジュヴナイル賞は、1961年に発行された児童ミステリから選出されている。前年の『のろわれた沼の秘密』に続いて、フィリス・A・ホイットニーが The Secret of The Tiger's Eye でノミネートされたものの、エドワード・フェントンの『ゆ…

のろわれた沼の秘密

永井するみの『カカオ80%の夏』が面白かったので、今年は、ジュヴナイル・ミステリを少し読んでみよう、と思った。正月以来始めかけている山中ホームズも、まあジュヴナイルなので、しばらくはこの傾向の本を中心の読書計画となりそうだ。